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コメディカル?パラメディカル?医療従事者にはどんな職種があるの?

医療を語る場面で,コメディカルや,パラメディカルという用語が使われることがありますが,具体的な意味をご存じですか?

 

コメディカル(comedical) 及びパラメディカル (paramedical)という 言葉は使われ始めた当初から,定義があいまいであるとして医療界の内外で疑問の声があり[1],チーム医療の考え方になじまないといった考えがありました.

 

一方で,コメディカルやパラメディカルといった言葉は,医療関係者の間で市民権を得ているという側面もあります.近年,我が国の医療は非常に厳しい状況に直面しており,医学の進歩,高齢化の進行等に加えて患者の社会的・心理的な観点及び生活への十分な配慮も求められ,チーム医療の推進は必須です[2].こうしたチーム医療の普及に伴い,医療関係者の間でコメディカルという用語が交わされる頻度は上がってきているという実態があります.

 

本記事では,コメディカルの言葉の定義から,その主要職種の役割まで説明します.

コメディカルとは?

コメディカルとは医師を除く医療従事者の総称です

主なコメディカルは,看護師,保健師,助産師,薬剤師,臨床検査技師,衛生検査技師,臨床工学技士,放射線技師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,栄養士,管理栄養士,救急救命士などで,多くは国家資格や都道府県資格があり,専門の養成学校や大学の養成課程があります.

パラメディカルとは違うの?

コメディカルと類似した言葉として,パラメディカルという言葉が知られています.パラメディカルのパラ「para」には,側面や補強という意味があり,「医療を補助する人」という意味でパラメディカル(paramedical)という呼称が使用され始めたという背景があります.

しかし,パラメディカルは医師至上主義的な意味として捉えられることが多かったため,1980年代半ば以降,各職種の専門性をベースとするチーム医療が主流となり,協力や協同という意味を持つ「co」を用いてコメディカル(comedical)という言葉が編み出されました.なお,パラメディカル (paramedical) はアメリカ英語ですが,コメディカル(comedical)は和製英語です.

 

近年の動向として,コメディカルという言葉について以下に示す理由で使用の自粛が求められているようです.

  • 意味する職種の範囲が不明確
  • 和製英語である
  • 英語圏では喜劇的という意味にもとれる

コメディカルという言葉を使用する代わりに,それぞれの役職を明確に示すように変更して,誤解を招かないようにするという動きがあります.

しかし,今でもコメディカルという言葉が使用されている場面があるのも事実です.

コメディカル/パラメディカルの主要職種とその役割

医療に従事する専門職の連携がうまくとれることで,チーム医療が機能し,質の高い医療サービスを提供できることにつながってきます.そこで,コメディカルの主要職種とその役割を説明します.一般的に,コメディカルに医師は含めませんが,チーム医療の観点から医師の役割についても記述します.

  • 医師は,医師法に基づき患者を診察し,治療を行います.患者の容態・問診・検査データなどから病名と病状を確定する診断と,投薬や手術などにより病状を改善させる治療を行います.上記のように,患者と向き合い診療を行う医師を「臨床医」と呼びます.臨床医は,内科・小児科・整形外科など,その医師が専門とする分野(診療科)ごとに分かれて診療を行います.一方で,「研究医」と呼ばれる人たちもいます.研究医は大学や研究所などに在籍して,薬剤や治療法,生理的反応といった基礎研究を行う医師のことで,新しい医療技術の開発や新薬開発には欠かせない存在です.
  • 看護師は,保健師助産師看護師法において,厚生労働大臣の免許を受けて,傷病者若しくは,褥(じょく)婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行います.具体的には医師の指示により注射や点滴などで薬剤を投与したり,包帯を巻いて固定したりするなど,医師の仕事を円滑に進めるためのサポート業務を行います.
  • 保健師は,地域住民の保健指導や健康管理を行います.乳幼児から高齢者まで,幅広い世代が健康に過ごせるようサポートします.健康相談や家庭訪問など個人の支援から,地域全体や企業単位での健康指導や健康管理を担います.
  • 助産師は,保健師助産師看護師法において,厚生労働大臣の免許を受けて,病院で出産の介助をします.また、出産時の介助だけでなく,妊娠・出産・出産後の女性と新生児のケアの専門家として,女性に様々な指導やアドバイスを行います.
  • 薬剤師薬を保管・管理し,医師の処方箋に従って適切に調剤し,患者さんに薬の説明を行います.患者の服用歴を管理し,副作用があった場合は医師へ情報提供するといった業務も行います.
  • 臨床検査技師は患者の健康状態を検査し、データを作成する仕事です。臨床検査技師が扱う検査には、おもに検体検査と生理学的検査があります。検体検査とは、尿や便などの検体から細菌やウイルスなどの微生物を探し出す検査や、血液の赤血球や白血球の状態を調べる検査などのことで,生理学的検査とは心電図検査・超音波検査・脳波検査などのことです。
  • 衛生検査技師は,「衛生検査技師」の名称を用いて、医師の指導監督の下に,病院などの医療機関で採血などから検査を行う医療技術職です.臨床検査技師との主な違いは,診療の補助としての採血と厚生労働省令で定める生理学的検査は臨床検査技師だけが行うことができますが,衛生検査技師はできないところです(2005年に資格廃止.日本臨床検査技師連盟より).
  • 臨床工学技士,病院で、患者さんの生命を維持する医療機器の操作と保守・点検を通じて人の生命を守ります。主な装置としては、腎臓のかわりに血液を濾ろ過かして血液中の老廃物を取り除く人工透析装置や,心臓手術のときに患者の心臓と肺の機能を果たす人工心肺装置,人工呼吸器や心臓停止時に電気ショックを与える除細動装置なども操作します.
  • 放射線技師は,病院などで診療放射線機器を操作して,医師の診断や治療をサポートします.具体的にはレントゲンを撮影するX線検査の他,X線を照射して断層画像を得るCT検査,造影剤の放射線を検出して臓器の状態を画像にするアイソトープ検査などです.異常のある部位に放射線を照射する装置を操作して治療のサポートも行います.
  • 理学療法士は,リハビリの知識をもとに,身体の運動機能の回復を目的として身体の動きが不自由な人に歩行訓練や関節を動かす訓練・筋力トレーニングなどの指導を行います.具体的には,運動・マッサージ・電気刺激などを用いて,障がいがある人の心身機能の改善を図ったり,自宅で行える理学療法や生活方法を提案したり,補装具の検討を行います.
  • 作業療法士は身体と精神の機能回復を目的として,身体障がい・精神障がい・認知症などの老年期障がい・脳性麻痺などの発達障がいのある人たちのリハビリテーションを行います.症状とその治療方針に従って,日常生活動作を介助・指導することで、障がいを持つ人が自立して生活し、社会に復帰できるように支援します。
  • 言語聴覚士は,言語(発語・発声)や聴覚に障がいのある人のリハビリテーションを行います.例えば,ガンの手術で声帯を切除した人・脳梗塞の後遺症で失語症になった人・病気や老化で耳が聞こえにくくなった人・生まれつき発話に障がいがある人,咀嚼・嚥下に障がいのある人などのリハビリテーションを行います.
  • 栄養士は,食や栄養の面から人々の健康な生活を支えています.食と栄養に関する専門家として、学校の給食や病院での食事のために栄養バランスの取れた献立を作ると共に、栄養・衛生指導などを行っています.調理に参加する場合もあります.
  • 管理栄養士は,栄養士の上級資格にあたる国家資格で,個人の身体や健康状態に応じた栄養指導を行うことができ,栄養士の管理・指導を行う役割があります.病院でのおもな仕事は,入院している患者の食事管理と,外来患者も含めた栄養指導です.入院患者の食事では,1人ひとりの病状に合わせた献立の作成や栄養価計算を行います.
  • 救急救命士は,医師の指示のもとで多種類の応急処置を施す権限があります.例えば,輸液を用いて静脈路を確保することや,呼吸が止まってしまった人に対して,器具を用いて気道を確保するなど,特定の医療行為を行うことができます.さらに,認定を受けた「認定救急救命士」は気管に直接チューブを挿入する「気管挿管」や,強心剤のアドレナリンを投与するなど,高度な処置を施すことができます. 

まとめ

医療従事者には,さまざまな職種があります.そして,各職種が医療を支える重要な役割を担っています.こうした医療従事者それぞれが連携することでチーム医療は成り立っています.

おわりに

Epigno Journalでは,これからの医療を支えるTipsを紹介しています.ぜひご覧ください.

出典

  1. 一般社団法人 日本癌治療学会 学会雑誌 第68巻3号掲載[会告]「コ・メディカル」という用語の使用自粛について(2012.3.21),https://www.jsrt.or.jp/data/news/3997/2020/09/02 アクセス
  2. 厚生労働省 チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集.https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ehf7-att/2r9852000001ehgo.pdf2020/09/02 アクセス



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    執筆者について

    黒田 美香
    黒田 美香
    群馬県在住の元看護師。総合病院勤務や訪問看護勤務を経て教育に興味を持ち、子育てをしながら修士課程を卒業。高校や専門学校、短大、大学等で看護や介護の教員経験を積む。現在は、乳がんにて闘病しつつ、執筆活動中。