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集合研修が難しい今こそ 医療現場でも取り入れるべきeラーニング

 

新型コロナウイルスの影響もあり、教育現場だけでなく企業研修など対面や集団での研修が難しい今、eラーニングは各業界で急速に普及しています。

「いつでも・どこでも学習」を特徴としたeラーニングを導入することは、集合研修の時間が取れず学習機会が少ないといった悩みを解決できるだけでなく、新型コロナウイルス感染対策で集合研修そのものを行わなくてよいなど、学習効率の向上が期待できます。一方で、選択する教材によっては導入することがデメリットとなる場合もあります。

今回は、医療におけるeラーニングのメリットと課題について、具体的なコンテンツとともにご紹介します。

eラーニングとは

eラーニングとは、“e”=electronic(電子的な)+Learning(学び)のことで、インターネットなどを利用して学ぶ学習形態のことを指します。 2001年に内閣が発表した「e-Japan構想」により、教育現場や企業研修などで導入が進んできました()。

インターネットを使用することで、従来の一方通行型の学びではなく、チャットやライブ授業配信など双方向のコミュニケーションが可能となり集合教育を大きく変革させています。 スマートフォンやタブレットの普及に伴い、自宅学習の続きを通勤通学中にスマホで視聴できるなど“スキマ時間”を生かした「いつでも・どこでも学習」が特徴となっています。

eラーニングを医療に導入するメリット

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コロナ禍以前から、シフト制での勤務が主となる医療従事者の方々にとって、出勤者全員が同時に同じ研修を受講することには難しさがありました。その結果、技術的な研修はテキストや書籍での学習がよく選択されてきましたが、費用、時間、学習、どの面でも苦労があると言われてきました。 そうしたなか、近年は、知識習得だけでなくARやVRを使った「経験の疑似体験」ができる教育も注目を集めています。また、学習進捗により個々のペースで学習ができるeラーニングの導入は大変有効だと考えられます。

まとめると、eラーニングを導入するメリットは

  • 「いつでも・どこでも学習」ができる
  • 集合研修にかかるコストを削減できる
  • 手技などテキストや書籍での学習だったものを実写や動画で確認ができる
  • スピーディな情報共有が可能

などが挙げられます。

実際に、エルゼビア社の看護継続教育のオンラインツール「ナーシング・スキル」を導入している千葉大学医学部附属病院 看護部では、以下のようなメリットを実感されていると言います()。

  • ナーシング・スキルを事前学習に組み込むことで、1回あたりの研修時間の短縮に成功
  • クオリティの高い手技動画により人手をかけずに効果的な研修ができる
  • 必要なときに何度も繰り返し見ることで、納得できるまで学習ができる

費用面では、経済産業省が推進する「IT導入補助金」に該当するコンテンツも存在するため導入費用を抑えることも可能です()。

学習面では、「いつでも・どこでも学習」ができるため、シフト制で勤務時間が不規則な方や短時間勤務の方など集合研修が難しいケースでも学習機会を提供できます。納得できるまで予習・復習ができるなど、教育側・受講者側どちらにとってもメリットが大きく効果的な学びにつながります。

そのため、日々変わっていく医療現場の中でeラーニングを用いることは、費用、時間、学習、どの面でもメリットがあると考えます。

eラーニング導入における課題

ここまでeラーニングの特徴やメリットを紹介してきましたが、目的に合ったコンテンツを選択する必要があるなど導入にあたり課題も存在します。

eラーニング導入にあたっての課題は

  • 受講者の学習意欲によって理解度や進捗が左右される
  • 自社独自の教材が必要な場合、作成の手間と時間がかかる
  • ディスカッションなど意見共有の機会が減ってしまう可能性がある

などが挙げられます。

「いつでも・どこでも学習」ができる反面、不明点があってもその場で解決できず受講者の学習意欲によって理解度や進捗が左右されるなど、個人のモチベーションを維持させることが課題となります。

医療業界で導入されているコンテンツ

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ここからは、医療向けeラーニングにどのようなコンテンツがあるのか、各サービスの特徴とともにご紹介します。

学研メディカルサポート

学研メディカルサポートは看護・介護を主とした医療向け配信型eラーニングシステムです。
「基礎習得コース」から「看護管理コース」、「院内全体研修」など対象に合わせた豊富なコースがあり、病床数に合わせた価格となっているため、個人学習や少人数での複数回開催研修にも活用できます()。

2021年、2022年ともに「IT導入補助金」の支援事業者として採択されており、補助事業者として採択された場合は受講費用の1/2の金額を補助金として受け取ることができます。

エルゼビア

エルゼビアのナーシング・スキルは、看護技術のオンライン教育ツールです。
オプションの動画講義シリーズでは著名な講師による100以上の多様な講義から、専門的な知識を深めることができます。特定行為研修では自治医科大学看護師特定行為研修センター監修による共通科目と区分別科目の研修コンテンツも受講できます()。

同じエルゼビアの医師向けコンテンツであるClinical Keyは、幅広い医療分野(外科を含む)を網羅した総合的コンテンツで、臨床に関する疑問に素早く回答する高度な検索機能を備えているため研修医からベテラン指導者にも活用できます。

ジョリーグッド

ジョリーグッドは、独自の手法により作り上げられた当事者目線VRコンテンツです。 デジタルヘルスVRに特化した「JOLLYGOOD+(ジョリーグッドプラス)」や、熟練医師の手技を始め専門スタッフの視野を360°VRカメラでライブ配信する「オペクラウドVR」など、医療福祉業界で働くスタッフ向けの臨床教育はもちろん、患者向けの自立支援やリラクゼーションなど幅広い用途でVRトレーニングを提供しています()。

「JOLLYGOOD+(ジョリーグッドプラス)」は、日本サブスクビジネス大賞2021のBtoB部門にて“ゴールド賞”を受賞するなど幅広く導入されています()。

メディシステムソリューション

メディシステムソリューションのBaritess(バリテス)は集合研修から未受講者フォローまで機能を凝縮した病院のためのeラーニングシステムです。
電子カルテ端末を利用した院内にサーバーを設置するオンプレミスのシステムで、どのカルテ端末からでも受講ができます。研修資料などから点数条件を設定したテストの作成が可能なため、受講率だけでなく理解度の把握が可能となります()。

Baritessを含む製品は、全国300以上の医療施設で10万人以上の医療従事者が使用しています。

アイリック

アイリックeラーニングは、ASP(Application Service Provider)サービスを利用した医療・介護向けのeラーニングシステムです。 職員全体に教育する機会が少ない「ISO9001シリーズ」やコロナにより関心が高まっている「感染対策シリーズ」など、各レッスン10分のためスキマ時間で学習ができます()。

APSサービスを利用することで、利用料を経費として処理することができ、初期投資を抑えた低額でのシステム導入が可能となります。

メディカルナレッジ

メディカルナレッジは、「かかりつけ薬剤師」要件の一つである「研修認定薬剤師」の申請に必要な単位も取得できる、薬剤師の生涯学習を支援するeラーニングシステムです(10)。

「緩和薬物療法認定薬剤師」や「認知症研修認定薬剤師」の受験資格取得の対象講座もあり、大学教授やNPO法人などが講師を務める26分野1,289講座と、豊富な内容からニーズに合わせた最先端な講義を受けることができます。

MPラーニング

MPラーニングは、「研修認定薬剤師」の対象講座として、日本薬剤師研修センターに認可されたe-ラーニングです(11)。

1コンテンツ30分と受講しやすく、疾患、治療、服薬指導、健康支援、在宅医療、漢方、小児、セルフメディケーション等、年間60コンテンツ(20単位)以上公開されるため、基本から実践まで幅広いコンテンツを受講できます。

PTラーニング

PTラーニングは、新人から熟練者まで、幅広い理学療法士(Physical Therapist)を対象とした理学療法士向けWeb研修システムです(12)。

大学教授陣や専門家監修のもと、臨床医学、理学療法基礎等8つ以上の分野に分けて作成されたコンテンツは、講義形式だけでなくテストや実技も含まれており、理解度が深めやすくなっています。

Udemy(ユーデミー)

Udemyは、18万以上のコースから選択可能な動画で受講するオンライン学習のプラットフォームです。一度購入したコンテンツは視聴制限なくいつでも視聴できます(13)。

医療だけでなく、コミュニケーションスキル、管理能力、Excelなどの事務作業、マインドフルネスなど様々な分野を学習することができます。

ここまで医療向けeラーニングコンテンツを紹介してきました。導入するには施設の特性に合った実用性が高く、受講状況や習熟度など管理機能が充実したシステムがおすすめです。

まとめ

ITも医療も日々進歩しています。医療現場での業務や知識は多種多様であり、施設の特性や個人によっても必要なスキルは異なります。
「いつでも・どこでも学習」を特徴とする実用性の高いeラーニングを導入することは、個人の成長だけでなく施設のスムーズな運営にもつながるでしょう。
紹介したコンテンツから少しでもeラーニングに興味をもっていただき、皆さんの業務等に役立てていただけましたら幸いです。

おわりに

Epigno Journal では、これからの医療を支えるTipsを紹介しています。また、メールマガジンにて最新記事のお届けをしています。右記フォームより、お気軽にご登録ください。

出典

(1)総務省「e-Japan戦略」の今後の展開への貢献
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ict/u-japan/new_outline01.html

(2)千葉大学医学部附属病院看護部 ナーシング・スキル活用事例
https://www.elsevier.com/__data/assets/pdf_file/0004/1224409/NS_casestudy_ChibaUniv.pdf

(3)中小企業庁 IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/

(4)学研メディカルサポート
https://gakken-meds.jp/gns/

(5)エルゼビア
https://www.elsevier.com/ja-jp/clinical-solutions

(6)ジョリーグッド
https://jollygood.co.jp/service

(7)ジョリーグッドプレスリリース「医療・福祉VR総合プラットフォーム「JOLLYGOOD+」、 日本サブスクビジネス大賞2021のBtoB部門にて“ゴールド賞”を受賞!」
https://newscast.jp/news/3817017

(8)メディシステムソリューション Baritess(バリテス)
https://medi-system.co.jp/baritess/

(9)アイリック
https://i-rick.jp/

(10)メディカルナレッジ
https://www.medical-knowledge.net/about/

(11)MPラーニング
https://www.mp-learning.com/

(12)PTラーニング
https://learning.proassist.jp/PTL/Start.aspx

(13)Udemy
https://www.udemy.com/

 

目次

    執筆者について

    髙橋 茜
    髙橋 茜
    東京都在住のフリーライター。商業高校卒業後、自動車業界にて経理・総務・システム開発など多岐分野の業務を経験。会計・ITに興味を持ち、連結会計ソフトウェアの開発・導入・コンサル・アウトソーシングを手掛ける企業へ転職し、15社以上の企業を担当する。難病である持病の悪化をきっかけに退職した後、ワーホリなどを活用し1年かけて20か国以上を旅する。帰国後RPA開発も携わるが、現在は、財務経理業務を続けながらライターとして執筆活動中。