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薬剤師って普段どんな仕事をしているの?一番身近な薬剤師業務について紹介

執筆者:鈴木絢乃 薬剤師セールスコピーライター

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皆さんは、「薬剤師」についてどのようなイメージを持たれていますか?
「白衣を着ている人」、「薬について知っている人」、「薬を渡す人」というイメージは多くの方が持っていらっしゃると思いますが、具体的にどのような仕事を担っているかは、あまり知られていないかもしれません。

本稿では、薬剤師の役割や業務内容について紹介し、皆さんが普段業務上接点が少ない薬剤師とは何かということを少しでも知ってもらえるきっかけになれたらと思います。

薬剤師について

薬剤師とは

薬剤師は薬剤師法の第一条に下記のように定められています。
「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」(

薬剤師になるには、まず6年制課程の大学薬学部で学び、卒業後、薬剤師国家試験の受験資格を取得する必要があります。そして国家試験合格後に申請すると、厚生労働省の薬剤師名簿に登録され、薬剤師免許が与えられます。

薬剤師の勤務先

薬剤師の仕事は多岐にわたり、勤め先も様々です。大きく分けると、以下の6種類の薬剤師が存在します。

  1. 薬局薬剤師
  2. 病院薬剤師
  3. 製薬会社の薬剤師
  4. 医薬品販売会社の薬剤師
  5. 学校薬剤師
  6. 行政の薬剤師

この中でも主な割合を占めているのは、薬局薬剤師と病院薬剤師になり、「薬局の従事者」は総数の57.1%、「病院の従事者」は総数の19.3%です()。
6年制課程の大学在学5年時に、薬局と病院でそれぞれ11週間の実務実習を履修することが義務化されています。その実習の際に、現場で働いている薬剤師、職場関係者や患者さんと接する機会があることが、未来の進路選択を考えるいい機会でもあります。

薬局薬剤師と病院薬剤師

この章では従事者数が1番目と2番目に多い薬局薬剤師と病院薬剤師の違いについて紹介します。
薬局薬剤師は調剤薬局やドラッグストアに勤める薬剤師、病院薬剤師は病院の薬剤部・院内薬局に勤める薬剤師のことです。

薬局薬剤師と病院薬剤師が行える業務内容は下表の通りになります()。
薬局薬剤師は病院薬剤師と異なり、一部行えない業務があります。
しかし、現在は在宅医療も推進しているため、薬局によっては薬局薬剤師も一部業務を行えることも増えてきました。

業務 薬局薬剤師 病院薬剤師
調剤業務
製剤業務
注射調剤業務
注射薬混合調製業務
外来化学療法室 ×
救命救急業務 ×
医薬品情報業務
治験業務 ×
チーム医療
病棟薬剤業務
疑義照会とプレアボイド
薬剤師外来
専門薬剤師

(○=行う、×=行わない、△=一部行う)


薬局薬剤師の役割について

薬局薬剤師の業務内容は?

ここからは従事者数が多く、患者さんとの距離感も近い「薬局薬剤師」について、より詳しくご紹介していきます。

薬局薬剤師の主な業務は「調剤業務」「服薬指導」「薬歴管理」「医薬品在庫管理」です。
その中でも調剤業務、服薬指導や情報提供は最も代表的な業務の1つです。

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①調剤業務

調剤業務は、医師の処方せんに基づいて、薬を調剤する業務のことです()。
調剤業務は以下の手順に沿って、過誤がないように細心の注意をし、正確に行います。

  1. 処方せんを受付する。ジェネリック医薬品(後発医薬品)の希望の有無、お薬手帳の持参の有無、副作用、保険証などを確認。
  2. 処方せん内容について確認。(処方鑑査)
  3. 必要に応じて、処方内容に不明点、重複投与や相互作用などがある場合は処方医に問い合わせをする。(疑義照会)
  4. 錠剤、外用剤などを処方せんに記載されているお薬の剤形、服用量、服用方法を考慮し、正確に取り揃える。(計数調剤)
  5. 必要に応じて、飲み忘れや重複服用を防止する為に、錠剤を服用時点毎に、機械を使って一包にまとめる。(一包化調剤)
  6. 散剤を処方せんに記載されている薬の剤形、服用量、服用方法を考慮し、正確に量り取り(計量調剤)、よく混合し、機械で一回分毎に分包する。
  7. 調剤された薬が、処方せんの内容通りかを、調剤した薬剤師と違う薬剤師が確認する。これは調剤過誤を未然に防ぐ目的もある。(最終鑑査)
  8. 患者さんが正しく服用および使用できるように、患者さんの疑問・相談に応じながら情報提供を行う。最終的に患者さんと一緒に内容の相互確認をしながら薬を交付する。(服薬指導)

上記のような流れで、患者さんの元に薬を届けているのです。
患者さんによっては「ただ薬を選んで渡すだけなのになぜそんなに時間がかかるのだ」とおっしゃられる方もいますが、処方せんを見てただ薬を渡すだけの業務ではないため、想像以上に時間がかかる場合があります。

②服薬指導
服薬指導は、薬剤師が患者さんに処方された薬に対して、薬の効果や副作用などの正確な情報を提供することです。
薬の中には複雑な服用方法も存在するため、患者さんが自己判断で間違った服用や使用、または中止するのを防ぎ、適切に処方された薬を服用・使用してもらうための目的もあります。

服薬指導は薬剤師法第25条の2にも薬剤師が必ず行うべきと義務付けられており、また厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」で定めた箇所にも、「対物業務から対人業務へ」と服薬指導の重要性が挙げられています()。

②−2 服薬指導のDX
対人業務へと移行するためには、薬剤師の業務、患者さんとの関係性など、従来の薬局のあり方そのものをアップデートし、薬局DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく必要があります。DXが進む土壌としてデジタル化は必須となります。
例えば、薬局DXのサポートとして、株式会社カケハシの「Musubi」というものがあります()。

Musubiにはいくつかサービスがありますが、その一つに電子薬歴の業務効率化があります。従来の薬局では、投薬終了後に薬歴を記載するという流れが多いのではないでしょうか。
Musubiのサービスを使用することにより、薬剤師は、投薬中の患者さんと一緒にMusubiのタッチ機能付き末端画面を見ながら服薬指導を行い、その内容が自動で薬歴のドラフトとして残ります。服薬指導と薬歴記入を同時に行うことができ、削減できた時間で、患者さんの状態に合わせた服薬指導をより丁寧に行うことも可能です。その結果、対物業務から対人業務へ移行することが可能になります。

③薬歴管理
薬歴とは薬剤服用歴のことであり、薬剤師が処方を鑑査し、患者さんの状態や状況を評価し、医薬品の調整や提供した薬剤情報の内容を記載した記録のことです。
服薬指導の内容や患者さんからの質問なども記載し、患者さんの個人情報や副作用歴、アレルギーの有無なども記録として残しておきます。

患者さんの中には1つの薬局だけではなく、2つ以上の薬局でそれぞれ薬をもらっている方もいます。そのため服用している全ての薬を記録として残し、日々情報を更新すると共に、情報を一元管理することで重複投与や併用禁忌を防止することも目的としてあります。

より正確な情報を得る為には、投薬時に患者さんとのコミュニケーション能力やヒアリング力も必要とされます。
なお、現在の薬歴はIT化が進み、紙媒体から電子薬歴というデータベースで管理することが増えています。

③−2 薬歴管理のDX
電子薬歴に移行しても、患者さんの服薬記録が転記されていない場合は正確な情報を管理できているという状態ではありません。
2011年3月の東日本大震災では、多くの医療機関が被災しカルテが失われ、情報がない中、患者さんのお薬手帳が唯一正確な処方内容を知ることができる手段でした。
この経験から日本調剤の電子お薬手帳「お薬手帳プラス」というサービスが誕生しました()。

紙のお薬手帳の情報をアプリでまとめて管理でき、日本調剤の薬局で薬を受け取った場合は、アプリに情報が自動的に反映され、他薬局で薬を受け取った場合も、QRコードの読み込みまたは手入力で登録できるため、患者さんの服薬状況が把握できるようになります。
紙媒体から電子薬歴に移行することでデータ化し、サーバで保管することも可能になります。

しかし現状では、医療機関は画面を見せてもらいながら手入力を行うなど運用に煩わしさもあるため、共通のフォーマットを作成し、電子カルテへ取り込める仕組みなど国主導で整備していく必要があります。

④医薬品在庫管理
通常2年に一度行われる調剤報酬改定や2021年度から毎年度薬価改定により、年々薬局経営は厳しさを増しています。薬局でもキャッシュフロー改善のために医薬品の在庫管理は必須業務になっています。

医薬品にも使用期限があり、期限切れのために廃棄することを避け、少しでもロスを減らし、適正在庫を維持し、医薬品の欠品を起こさずに管理しなければなりません。
薬局薬剤師の場合は、在庫管理や処方せん枚数を増やすための施作など、売上をいかに前年よりも上げるかなどを考えながら勤務しなければなりません。

薬局薬剤師のやりがいとは?


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医療の分野でもデジタル化が進み、業務の中でもITは必須になり、薬剤師を取り巻く環境は変わってきました。

しかし、薬局薬剤師は患者さんという「ヒト」と接することが多く、「ありがとう」「あなたがいるからここの薬局に来ている」という言葉をかけてもらったときに一番やりがいを感じます。

薬局は病院よりも患者さんの暮らしにより身近で、毎日の生活に寄り添いやすいからこそ、薬だけでなく、患者さんの日常や健康に関わることも可能です。

薬局薬剤師は、調剤業務を行うだけの対物業務だけでなく、対人業務へのシフトが求められる時代になってきています。医薬品だけの知識だけでなく、コミュニケーション能力の向上を通じ、家族構成や仕事内容、生活リズムなど患者さんの生活背景を知る事により、薬の飲み合わせや食事指導、必要であれば生活習慣の改善のサポートなど、きめ細かい服薬指導が行えるため、患者さんの薬局近隣の住民の関わりも増やしていく必要があります。調剤薬局には子供から高齢者まで幅広い年齢層を相手にすることもあり、相手が何を望んでいるのか、何に悩んでいるのかを汲み取る力も必要です。

また近年は、コロナ渦により、オンライン服薬指導サービスなども開始しており、対物業務から対人業務だけではなく、新しいITインフラを駆使した業務も加わり、幅広く関わることができるのも薬局薬剤師としての魅力の一つです。

まとめ

本稿では、皆さんに普段あまり見えない薬剤師についての情報をお伝えしました。
医療は様々な職種の人たちの関わり合いの中で成り立っており、他業種間の連携が大切です。薬剤師についてより詳しく知っていただき、皆さんの業務等に、少しでも役立てて頂けましたら幸いです。

おわりに

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出典

(1)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81001000&dataType=0&pageNo=1
(2)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/16/dl/kekka_3.pdf
(3)東京都病院薬剤師会
https://www.thpa.or.jp/index.php?q=pharmacists-work
(4)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/gaiyou_8.pdf
(5)株式会社カケハシ
https://www.kakehashi.life/service
(6)日本調剤電子お薬手帳 お薬手帳+プラス
https://portal.okusuriplus.com/about/

 

目次

    執筆者について

    鈴木絢乃
    鈴木絢乃
    千葉県在住の薬剤師セールスコピーライター。 6年制課程薬学部を卒業後、ドラッグストアの調剤薬局にて勤務。その後調剤薬局に転職後、現在はドラッグストアの調剤薬局の管理薬剤師として勤務。結婚を機に、ワーク・ライフ・バランスを考えるようになり、セールスコピーライターの道へ。 今夏には出産予定。「どんな状況でも自立した女性」をモットーに薬剤師兼ライターとして活動中。
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